身体拘束対策委員会

当事業所では身体拘束対策委員会を設置しています。

高齢者および障害をお持ちの利用者様に適正な対応が行われるよう取り組んでいます。

身体拘束等の適正化のための指針

(高齢者)身体拘束等の適正化のための指針

事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的考え方

第1条 サポーターズサポート株式会社豊訪問看護リハビリステーション(以下、「事業者」という。)は、高齢者虐待防止法の趣旨を理解し、ご利用者に安心、安全なサービスを提供すること。利用者の立場に立った愛情あるサービスを提供していく。

2 事業者の従業員は、身体拘束防止に関し、次の方針を定め周知徹底する。

(1)身体拘束は廃止すべきものである。

(2)身体拘束廃止に向けて常に努力する。

(3)安易に身体拘束を行わない。

(4)身体拘束を許容する考え方はしない。

(5)身体拘束を行わないための創意工夫を忘れない。

(6)利用者の人権を最優先にする。

(7)身体拘束廃止に向けてありとあらゆる手段を講じる。

(8)やむを得ない場合、ご利用者、家族に丁寧に説明を行って、身体拘束を行う。

(9)身体拘束を行った場合、常に廃止する努力を怠らず、常に「身体拘束ゼロ」を目指す。

虐待防止委員会その他事業所内の組織に関する事項

第2条 事業者は、虐待防止及び身体拘束適正化等を目的として、虐待防止委員会(以下、「事業者委員会」という。)を設置する。

また、事業所内にも同様に虐待防止委員会(以下、「委員会」という。)を設置する。

2 事業者委員会は、年2回以上、定期的に開催し、次のことを検討、協議する。

(1)虐待の未然防止のために就業規則及び虐待防止委員会規程の虐待に関する規定、身体拘束等の排除マニュアル等を確認し、必要に応じて見直す。

(2)発生した虐待や身体拘束を検証し、虐待の再発防止策の検討及び身体拘束が身体拘束等の排除マニュアルに沿って適切な手続き、方法で行われているかを確認する。

(3)事業者の年間研修計画に沿った研修及び必要な教育の内容及び実施状況を確認する。

3 委員会は、6ヶ月に1回以上、定期的に開催し、次のことを検討、協議する。。

(1)事業者の年間研修計画に沿って、研修及び必要な教育を実施する。

(2)日常的ケアをモニタリングし、ご利用者の人権を尊重した適切なケアが行われているかを確認する。

(3)虐待防止チェックリスト等を活用し、虐待又は身体拘束等の兆候がある場合には慎重に調査し、検討及び対策を講じる。

(4)虐待が発生した場合、その原因を分析し、再発防止策を検討して実施する。

(5)身体拘束が発生した場合、身体拘束等の排除マニュアルに沿った適切な手続き、方法で行われているかを確認する。

4 委員会は、次の職員で構成し役割分担する。

(1)法人役員:身体拘束における諸課題の最高責任者

(2)事業所管理者:身体拘束における諸課題の総括管理

(3)看護職員:1)医師とケアマネジャーとの連携、2)在宅における医療行為の範囲の整備、3)重度化する利用者の状態観察、4)記録の整備、5)身体拘束廃止に向けての家族指導

(4)リハビリ職員:1)拘束がもたらす弊害を把握する、2)利用者の尊厳を理解する、

3)利用者の疾病、障害等による行動特徴の理解、 4)記録の整備

身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本指針

第3条 事業者は、年間研修計画に沿って「コンプライアンス研修」、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」等の研修を必ず実施する。

(1)新規採用者には、毎月の入社時研修において「コンプライアンス研修」、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」を実施する。

(2)現任者には、年間研修計画に沿って「コンプライアンス研修」を年1回、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」を年2回実施する。

(3)管理者が「コンプライアンス研修」、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」等が必要と認めた場合は、随時実施する。

事業所又はケアを提供する場で発生した身体拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針

第4条 ケアの提供にあたっては、ご利用者又は他のご利用者等の生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束その他ご利用者の行動を制限する行為を行わない。

(1)介護保険指定基準における禁止となる具体的な行為は以下のとおり。(厚生労働省の「身体拘束ゼロへの手引き」2001年3月)

①徘徊しないように車いすやイス、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

②転落しないようにベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

③自分で降りられないようにベッドを柵(サイドレール)で囲む。

④点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように四肢をひも等で縛る。

⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように又は皮膚を掻きむしらないように手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。

⑥車いすやイスからずり落ちたり、立ち上がったりしないようにY字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。

⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようなイスを使用する。

⑧脱衣やオムツはずしを制限するために介護衣(つなぎ服)を着せる。

⑨他人への迷惑行為を防ぐためにベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。

⑩行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に服用させる。

⑪自分の意思で開くことの出来ない居室等に隔離する。

(2)身体拘束等を行わずにケアするための3つの原則

①身体拘束を誘発する原因を探り除去する。

身体拘束をやむを得ず行う場合、必ず理由や原因がある。ご利用者ではなく、ケアする側の関わり方や環境に問題があることも少なくない。ご利用者個別の理由や原因を徹底的に探り、除去するケアが必要である。

②以下の5つの基本的なケアを実行し、例えば、不穏になられる原因を除去したり、転倒リスク等を軽減したりして身体拘束によらないケアを提供する。

(ⅰ)起きる

人は座って重力が上からかかることにより覚醒する。目を開き、耳が聞こえて自分の周囲で起こっていることがわかる。これは仰臥して天井を見ていたのではわからない。起きることは人間らしさを追求する第一歩である。

(ⅱ)食べる

食べることは人にとって楽しみ、生きがいであり、脱水予防、感染予防にもなり、点滴や経管栄養が不要になる。食べることはケアの基本である。

(ⅲ)排泄する

なるべくトイレで排泄することを基本に、おむつを使用している人は、随時交換が重要である。おむつに排泄物がついたままになっていれば気持ち悪く、「おむついじり」などの行為につながる。

(ⅳ)清潔にする

きちんと風呂に入ることを基本に、人は皮膚が不潔であれば、かゆみの原因になる。そのために大声を出したり、夜眠れずに不穏になったりする。皮膚の清潔を保つことで快適になり、周囲も世話をしやすく、人間関係も良好になる。

(ⅴ)活動する(アクティビティ)

ご利用者の状態や生活歴に合ったよい刺激を提供することが重要である。具体的に音楽、工芸、園芸、ゲーム、体操、家事、テレビなどが考えられる。言葉の刺激、言葉以外の刺激もあるが、その人らしさを追求する上で、心地よい刺激が必要である。

③身体的拘束廃止をきっかけに「よりよいケア」の実現をめざす。

身体拘束廃止を実現していく取り組みは、事業所におけるケア全体の質の向上やご利用者の生活環境の改善のきっかけとなる。「身体拘束廃止」がゴールではなく、身体拘束廃止を実現していく過程で提起される様々な課題を真摯に受け止め、よりよいケアの実現に取り組んでいく。また、身体拘束禁止規定の対象になっていない行為でも、例えば「言葉による拘束」(スピーチロック)などは心理的虐待であり、決して行わない。

(身体拘束発生時の対応に関する基本方針)

第5条 身体拘束は行わないことが原則であるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際のご利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録する。

なお、「ご利用者又は他のご利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」には身体拘束が認められているが、これは「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要件を満たし、かつ、それらの要件の確認等の手続が極めて慎重に実施されている場合に限る。

※「緊急やむを得ない場合」の対応とは、ケアの工夫のみでは十分に対処出来ない一時的な事態に限定される。安易に「緊急やむを得ない」として身体拘束を行わないように慎重に判断する。具体的には「身体拘束ゼロへの手引き」(厚生労働省2001年3月)に基づく次の要件、手続きに沿って慎重に判断する。

(1)やむを得ず身体拘束を行う場合の3要件

以下の3要件をすべて満たすことを委員会等で検討、確認し記録する。

①切迫性                 ご利用者又は他のご利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

「切迫性」を判断する場合には、身体拘束を行うことにより、ご利用者の日常生活等に与える影響を勘案し、それでもなお身体拘束を行うことが必要となる程度まで、ご利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が高いことを確認する必要がある。

②非代替性             身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替するケアの方法がないこと。

「非代替性」を判断する場合には、いかなる場合でも、まずは身体拘束を行わずにケアするすべての方法の可能性を検討し、ご利用者等の生命又は身体を保護するという観点から他に代替手法が存在しないことを複数の職員で確認する必要がある。また、拘束の方法も、ご利用者の状態像等に応じて最も制限の少ない方法を選択しなければならない。

③一時性               身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。

「一時性」を判断する場合には、ご利用者の状態像等に応じて必要な最も短い拘束時間を想定する必要がある。

(2)やむを得ず身体拘束を行うときの手続き

仮に3要件を満たす場合でも以下の点に留意する。

①組織による決定と身体拘束に関する説明書等への記載

・やむを得ず身体拘束を行うときには、カンファレンス等で組織として慎重に検討し、決定する。この場合でも委員会で議題として上げて慎重に協議するものとし、基本的に職員の個人的判断で行わない。 

・身体拘束を行う場合には、身体拘束に関する説明書等に身体拘束の態様及び時間、緊急やむを得ない理由を記録する。カンファレンス等で身体拘束の原因となる状況を徹底的に分析し、身体拘束の解消に向けた取り組み方針や目標とする解消の時期等を統一した方針の下で決定する。ここでも、ご利用者個別のニーズに応じた個別のケアを検討する。

②ご利用者、家族への十分な説明

・身体拘束を行う場合は、これらの手続きの中で、ご利用者や家族に対して、事前に身体拘束に関する説明書等で身体拘束の内容、目的、理由、拘束の時間、時間帯、期間等を出来る限り詳細に説明し、十分な理解を得る。説明は管理者もしくは準ずる者が行う。

・仮に、事前にご利用者や家族に説明し、理解を得ている場合でも、実際に身体拘束を行う時点で必ず個別に説明し、理解を得る。

③行政等への相談、報告

・身体拘束を行う場合、高齢者虐待相談窓口(市区町村窓口、地域包括支援センター)等の行政に相談、報告する。ご利用者へのケアのなかで様々な問題を事業所で抱え込まず、関係する機関と連携してケアについて様々な視点からアドバイスや情報を得る。

・行政等に報告、相談することで、ケアの困難な事例に取り組んで、組織的な虐待及び身体拘束防止を推進する。

④身体拘束に関する事項の記録

・身体拘束を行った場合には、その態様及び時間、その際のご利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由等必要事項を記録する。

・緊急やむを得ない場合に該当しないと判断された場合は、直ちに拘束を解除し、ご利用者及び家族等に報告し、記録する。

・具体的な記録は、身体拘束に関する説明書等を使用する。記録には、日々の心身の状態等の観察、拘束の必要性や方法に係わる再検討を行うごとに逐次その記録を加えるとともに、それについて情報を開示し、職員間、事業所全体、家族等関係者の間で直近の情報を共有する。また、この記録は整備し、行政の指導、監査においても、閲覧して頂けるようにする。

・各記録は、ご利用者が退去等でサービスが終了した日から5年間保管する。

ご利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針

第6条 当該指針は、事業所内に掲示し、ご利用者及び家族等、すべての職員がいつでも自由に閲覧できるようにする。

その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針

第7条 身体拘束等をしないケアを提供していくためにケアに関わる職員全体で、以下の点について、十分に議論して共通認識を持ち、拘束をなくしていくよう取り組む。

(1)介護力が足りないことを理由に、安易に身体拘束等を行っていないか。

(2)事故発生時の法的責任問題の回避のために、安易に身体拘束等を行っていないか。

(3)高齢者等は転倒しやすく、転倒すれば大怪我になるという先入観だけで安易に身体拘束等を行っていないか。

(4)認知症等であるということで安易に身体拘束等を行っていないか。

(5)ケアの中で、本当に緊急やむを得ない場合にのみ身体拘束等を必要と判断しているか。本当に他の方法はないか。

2 身体拘束廃止をきっかけに「よりよいケア」の実現をめざす。

「言葉による拘束(スピーチロック)」にも配慮して、ご利用者に対して真心のこもった「よりよいケア」を実現する。

2022年1月1日 制定

(障がい者)身体拘束等の適正化のための指針

(事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的考え方)

第1条 サポーターズサポート株式会社(以下、「事業者」という。)は、障害者虐待防止法及び児童虐待防止法の趣旨を理解し、障がい者及び障がい児(以下、「ご利用者」という。)に生きがいと安心、安全を提供するという使命感を常に自覚し、ご利用者本位の真心と優しさのこもった、最大ではなく最高のサービスを提供していく。

2 事業者は、身体拘束防止に関し、次の方針を定め、すべての従業員に周知徹底する。

(1)身体拘束は廃止すべきものである。

(2)身体拘束廃止に向けて常に努力する。

(3)身体拘束を許容する考え方はしない。

(4)身体拘束を行わないための創意工夫を忘れない。

(5)ご利用者の人権を最優先にする。

(6)やむを得ない場合、ご利用者、家族に丁寧に説明を行って、身体拘束を行う。

(7)身体拘束を行った場合、常に廃止する努力を怠らず、常に「身体拘束ゼロ」を目指す。

(虐待防止委員会その他事業所内の組織に関する事項)

第2条 事業者は、虐待防止及び身体拘束適正化等を目的として、虐待防止委員会(以下、「事業者委員会」という。)を設置する。

また、事業所内にも同様に虐待防止委員会(以下、「委員会」という。)を設置する。

2 事業者委員会は、年2回以上、定期的に開催し、次のことを検討、協議する。

(1)虐待の未然防止のために就業規則及び虐待防止委員会規程の虐待に関する規定、身体拘束等の排除マニュアル等を確認し、必要に応じて見直す。

(2)発生した虐待や身体拘束を検証し、虐待の再発防止策の検討及び身体拘束が身体拘束等の排除マニュアルに沿って適切な手続き、方法で行われているかを確認する。

(3)事業者の年間研修計画に沿った研修及び必要な教育の内容及び実施状況を確認する。

3 委員会は、年2回以上、定期的に開催し、次のことを検討、協議する。

(1)事業者の年間研修計画に沿って、研修及び必要な教育を実施する。

(2)日常的支援をモニタリングし、ご利用者の人権を尊重した適切な支援が行われているかを確認する。

(3)虐待防止チェックリスト等を活用し、虐待又は身体拘束等の兆候がある場合には慎重に調査し、検討及び対策を講じる。

(4)虐待が発生した場合、その原因を分析し、再発防止策を検討して実施する。

(5)身体拘束が発生した場合、身体拘束等の排除マニュアルに沿った適切な手続き、方法で行われているかを確認する。

4 委員会は、管理者、虐待防止責任者や支援のリーダー等で構成する。

なお、必要に応じて、事業者職員、協力医療機関の医師、精神科専門医等や知見を有する第三者の助言を得る。

(身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本指針)

第3条 事業者は、年間研修計画に沿って「コンプライアンス研修」、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」等の研修を必ず実施する。

(1)新規採用者には、毎月の入社時研修において「コンプライアンス研修」、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」を実施する。

(2)現任者には、年間研修計画に沿って「コンプライアンス研修」を年1回、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」を年2回実施する。

(3)管理者が「コンプライアンス研修」、「人権及び虐待・身体拘束防止研修」等が必要と認めた場合は、随時実施する。

(事業所又は支援を提供する場で発生した身体拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針)

第4条 支援の提供にあたっては、ご利用者又は他のご利用者等の生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束その他ご利用者の行動を制限する行為を行わない。

(1)障害者虐待防止法及び児童虐待防止法で「正当な理由なくご利用者の身体を拘束すること」は身体的虐待に該当する行為である。

具体的に以下のような行為が該当する。

①車いすやベッド等に縛り付ける。

②手指の機能を制限するためにミトン型の手袋をつける。

③行動を制限するために介護衣(つなぎ服)を着せる。

④支援者が自分の体で利用者を押さえ付けて行動を制限する。

⑤行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に服用させる。

⑥自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

なお、介護保険指定基準における禁止となる具体的な行為は以下のとおり。(厚生労働省の「身体拘束ゼロへの手引き」2001年3月)

①徘徊しないように車いすやイス、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

②転落しないようにベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

③自分で降りられないようにベッドを柵(サイドレール)で囲む。

④点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように四肢をひも等で縛る。

⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように又は皮膚を掻きむしらないように手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。

⑥車いすやイスからずり落ちたり、立ち上がったりしないようにY字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。

⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようなイスを使用する。

⑧脱衣やオムツはずしを制限するために介護衣(つなぎ服)を着せる。

⑨他人への迷惑行為を防ぐためにベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。

⑩行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に服用させる。

⑪自分の意思で開くことの出来ない居室等に隔離する。

(2)身体拘束等を行わずに支援するための3つの原則

①身体拘束を誘発する原因を探り除去する。

身体拘束をやむを得ず行う場合、必ず理由や原因がある。ご利用者ではなく、支援する側の関わり方や環境に問題があることも少なくない。ご利用者の個別の理由や原因を徹底的に探り、除去する支援が必要である。

②以下の5つの基本的な支援を実行し、例えば、不穏になられる原因を除去したり、転倒リスク等を軽減して身体拘束によらない支援を提供する。

(ⅰ)起きる

人は座って重力が上からかかることにより覚醒する。目を開き、耳が聞こえて自分の周囲で起こっていることがわかる。これは仰臥して天井を見ていたのではわからない。起きることは人間らしさを追求する第一歩である。

(ⅱ)食べる

食べることは人にとって楽しみ、生きがいであり、脱水予防、感染予防にもなり、点滴や経管栄養が不要になる。食べることは支援の基本である。

(ⅲ)排泄する

なるべくトイレで排泄することを基本に、おむつを使用している人は、随時交換が重要である。おむつに排泄物がついたままになっていれば気持ち悪く、「おむついじり」などの行為につながる。

(ⅳ)清潔にする

きちんと風呂に入ることを基本に、人は皮膚が不潔であれば、かゆみの原因になる。そのために大声を出したり、夜眠れずに不穏になったりする。皮膚の清潔を保つことで快適になり、周囲も支援しやすく、人間関係も良好になる。

(ⅴ)活動する(アクティビティ)

ご利用者の状態や生活歴に合ったよい刺激を提供することが重要である。具体的に音楽、工芸、園芸、ゲーム、体操、家事、テレビなどが考えられる。言葉の刺激、言葉以外の刺激もあるが、その人らしさを追求する上で、心地よい刺激が必要である。

③身体的拘束廃止をきっかけに「よりよい支援」の実現をめざす。

身体拘束廃止を実現していく取り組みは、事業所又は支援の場における支援全体の質の向上やご利用者の生活環境の改善のきっかけとなる。「身体拘束廃止」がゴールではなく、身体拘束廃止を実現していく過程で提起される様々な課題を真摯に受け止め、よりよい支援の実現に取り組んでいく。また、身体拘束禁止規定の対象になっていない行為でも、例えば「言葉による拘束」(スピーチロック)などは心理的虐待であり、決して行わない。

(身体拘束発生時の対応に関する基本方針)

第5条 身体拘束は行わないことが原則であるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際のご利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録する。

なお、「ご利用者又は他のご利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」には身体拘束が認められているが、これは「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要件を満たし、かつ、それらの要件の確認等の手続が極めて慎重に実施されている場合に限る。

※「緊急やむを得ない場合」の対応とは、支援の工夫のみでは十分に対処できない一時的な事態に限定される。安易に「緊急やむを得ない」として身体拘束を行わないように慎重に判断する。具体的には「身体拘束ゼロへの手引き」(厚生労働省2001年3月)に基づく次の要件、手続きに沿って慎重に判断する。

※ただし、肢体不自由、特に体幹機能障害があるご利用者が、残存機能が活かせるよう、安定した着座姿勢を保持するための工夫の結果として、ベルト類を装着して身体を固定する行為は、「やむを得ない身体拘束」ではなく、その行為を行わないことがかえって虐待に該当することに留意する。

(1)やむを得ず身体拘束を行う場合の3要件

以下の3要件をすべて満たすことを委員会等で検討、確認し記録する。

①切迫性:ご利用者本人又は他のご利用者等の生命、身体又は権利が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

「切迫性」を判断する場合には、身体拘束を行うことにより、ご利用者の日常生活等に与える影響を勘案し、それでもなお身体拘束を行うことが必要となる程度まで、ご利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が高いことを確認する必要がある。

②非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する支援の方法がないこと。

「非代替性」を判断する場合には、いかなる場合でも、まずは身体拘束を行わずに支援するすべての方法の可能性を検討し、ご利用者等の生命又は身体を保護するという観点から他に代替手法が存在しないことを複数の職員で確認する必要がある。また、拘束の方法も、ご利用者の状態像等に応じて最も制限の少ない方法を選択しなければならない。

③一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。

「一時性」を判断する場合には、ご利用者の状態像等に応じて必要な最も短い拘束時間を想定する必要がある。

(2)やむを得ず身体拘束を行うときの手続き

仮に3要件を満たす場合でも以下の点に留意する。

①組織による決定と身体拘束に関する説明書等への記載

・やむを得ず身体拘束を行うときには、カンファレンス等で組織として慎重に検討し、決定する。この場合でも委員会で議題として上げて慎重に協議するものとし、基本的に職員の個人的判断で行わない。

・身体拘束を行う場合には、身体拘束に関する説明書等に身体拘束の態様及び時間、緊急やむを得ない理由を記録する。カンファレンス等で身体拘束の原因となる状況を徹底的に分析し、身体拘束の解消に向けた取り組み方針や目標とする解消の時期等を統一した方針の下で決定する。ここでも、ご利用者個別のニーズに応じた個別の支援を検討する。

②ご利用者、家族への十分な説明

・身体拘束を行う場合は、これらの手続きの中で、ご利用者や家族に対して、事前に身体拘束に関する説明書等で身体拘束の内容、目的、理由、拘束の時間、時間帯、期間等を出来る限り詳細に説明し、十分な理解を得る。説明は管理者もしくは準ずる者が行う。

・仮に、事前にご利用者や家族に説明し、理解を得ている場合でも、実際に身体拘束を行う時点で必ず個別に説明し、理解を得る。

③行政等への相談、報告

・身体拘束を行う場合、市区町村の障害者虐待防止センター等の行政に相談、報告する。ご利用者への支援のなかで様々な問題を事業所で抱え込まず、関係する機関と連携して支援について様々な視点からアドバイスや情報を得る。

・行政等に報告、相談することで、支援の困難な事例に取り組んで、組織的な虐待及び身体拘束防止を推進する。

④身体拘束に関する事項の記録

・身体拘束を行った場合には、その態様及び時間、その際のご利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由等必要事項を記録する。

・緊急やむを得ない場合に該当しないと判断された場合は、直ちに拘束を解除し、ご利用者及び家族等に報告し、記録する。

・具体的な記録は、身体拘束に関する説明書等を使用する。記録には、日々の心身の状態等の観察、拘束の必要性や方法に係わる再検討を行うごとに逐次その記録を加えるとともに、それについて情報を開示し、職員間、事業所全体、家族等関係者の間で直近の情報を共有する。また、この記録は整備し、行政の指導、監査においても、閲覧して頂けるようにする。

・各記録は、ご利用者が退去等でサービスが終了した日から5年間保管する。

(3)身体拘束廃止未実施減算

・2018年度障害福祉サービス等の報酬改定で、身体拘束の適正化を図るために身体拘束等に係る記録をしていない場合、基本報酬を減算する「身体拘束廃止未実施減算」が既に創設されている。

なお、2021年障害福祉サービス等の報酬改定で、身体拘束等の適正化の更なる推進のため、運営基準において施設、事業所が取り組むべき事項を追加するとともに、減算要件が追加された。

※対象:生活介護、短期入所、就労継続支援、児童発達支援、放課後等デイサービス等

・2021年障害福祉サービス等の報酬改定で、訪問系サービスも、知的障害者や精神障害者も対象としており、身体拘束が行われることも想定されるため、運営基準に「身体拘束等の禁止」の規定を設けるとともに、「身体拘束廃止未実施減算」が創設された。

※対象:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護等

・訪問系サービス以外は、(ⅱ)から(ⅳ)の規定を追加する((ⅰ)は2018年4月から既に規定済みで減算対象)。

訪問系サービスは、(ⅰ)から(ⅳ)を追加する。

※訪問系サービスの(ⅱ)から(ⅳ)の規定は、2021年4月から努力義務化し、2022年4月から義務化する。

※訪問系サービスの(ⅰ)の規定は、2021年4月から義務化する。

(ⅰ)身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際のご利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録すること。(上記(2)の①②④)

(ⅱ)委員会を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること。

(ⅲ)身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。

(ⅳ)すべての従業者に対し、人権及び虐待・身体拘束防止研修を採用時及び年2回、定期的に実施すること。

・減算の取り扱い

上記の(ⅰ)から(ⅳ)を満たしていない場合に、基本報酬を減算する。(身体拘束廃止未実施減算5単位/日)

※訪問系サービス以外は、(ⅱ)から(ⅳ)については、2023年4月から適用する。

※訪問系サービスは、(ⅰ)から(ⅳ)の全てを、2023年4月から適用する。

(ご利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針)

第6条 当該指針は、事業所内に掲示等するとともに、事業者のホームページに掲載し、ご利用者及び家族等、すべての職員がいつでも自由に閲覧できるようにする。

(その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針)

第7条 身体拘束等をしない支援を提供していくために支援に関わる職員全体で、以下の点について、十分に議論して共通認識を持ち、拘束を無くしていくよう取り組む。

(1)マンパワーが足りないことを理由に、安易に身体拘束等を行っていないか。

(2)事故発生時の法的責任問題の回避のために、安易に身体拘束等を行っていないか。

(3)障がい者等は転倒しやすく、転倒すれば大怪我になるという先入観だけで安易に身体拘束等を行っていないか。

(4)障がい等があるということで、安易に身体拘束等を行っていないか。

(5)支援の中で、本当に緊急やむを得ない場合にのみ身体拘束等を必要と判断しているか。本当に他の方法はないか。

2 身体拘束廃止をきっかけに「よりよい支援」の実現をめざす。

「言葉による拘束(スピーチロック)」にも配慮して、ご利用者本位の真心と優しさのこもった「よりよい支援」を実現する。

※本指針の記載事項等については、各事業の「身体的拘束等の排除マニュアル」を参照のこと。

※本指針の対象サービスは、生活介護、短期入所、就労継続支援、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅介護、重度訪問介護、同行援護及び行動援護とする。

2022年1月1日 制定